ダイエットをするとき、ほとんどの場合カロリー制限を行います。
その際、よくカロリーを1200kcalに抑えるのがダイエットに効果的だといわれています。
なぜ、1200kcalにするのがよいのでしょうか?
また、1200kcalの献立とは具体的にどのような食事になるのでしょうか?
今回は、
- 1200kcalの献立の具体例
- 1200kcalに抑えるのがダイエットに効果的な理由
- 1200kcalの献立を考えるとき・食べるときのポイント
以上の3点を中心に、現役の管理栄養士がご紹介します。
1200キロカロリーにおさえる理由とは?

ダイエットをしようというときにまず思いつくのは、摂取カロリーを抑えることではないでしょうか?
しかし、ただやみくもに数字を設定せずにカロリー制限をすれば良いというわけではありません。
なぜ1200kcalに制限するのが良いのか?その理由を身体のメカニズムとともに解説します。
痩せるためには「摂取エネルギー<消費エネルギー」にすること
私たちが活動するためには、エネルギーを必要とします。
仕事や家事・育児をしたり運動をしたりするためだけでなく、呼吸をする・内臓を動かすといった生命を維持するための活動でも、エネルギーを消費しています。
活動のためのエネルギーは、食事を摂ることで補っています。
この摂取エネルギーが消費エネルギーを上回ると体脂肪が増え、摂取エネルギーが消費エネルギーを下回ると体脂肪が減ります。
つまり、ダイエットで痩せるためには「摂取エネルギー<消費エネルギー」にする必要があるのです。
私たちが活動するために必要だと考えられる1日あたりのエネルギー量を「推定エネルギー必要量」といいます。
ちなみに、18歳以上の女性の推定エネルギー必要量は約2000kcalといわれています(※1)。
その人の体格や年齢・活動量などによって差はありますが、ダイエットをするときには食事のエネルギー量をこの2000kcal未満に抑える必要があるというわけです。
【警告】生きるために必要なエネルギー量は下回ってはいけない
「摂取エネルギー<消費エネルギー」の状態であれば、その差が大きいほど効率よく痩せられます。
ただし、極端に摂取エネルギーを抑えると、むしろ逆効果になってしまうのです。
呼吸をする・内臓を動かすなど、生きているだけで1日に消費するエネルギー量を「基礎代謝量」といいます。
これは生命を維持するために必要不可欠なエネルギーであるため、摂取カロリーがこれを下回ってはいけません。
摂取エネルギー量が基礎代謝量を下回ると生命を維持するために必要なエネルギー量を確保できないため、身体は筋肉などを分解してエネルギーをつくり出します。
つまり、筋肉量が減少して痩せにくく太りやすい体質になってしまうのです。
そのため、カロリー制限で痩せようとしたときでも下限なくカロリーを制限すれば良いというものではなく、必要最低限のエネルギーは確保しなければならないのです。
18~64歳の女性の基礎代謝量は、標準体重で約1110kcalです(※1)。
そのため、ダイエットをする場合でも1日に摂取するエネルギー量は1200kcal以上を確保するようにしましょう。
1200kcalの献立を考えるときのポイント

具体的な1200kcalの献立の例をご紹介しました。
とはいえ、食事は毎日のことですから毎日・毎食1200kcalに抑えるためのメニューを考えるのは大変です。
そこで、ポイントを抑えて毎日の献立・メニューづくりを楽にしましょう。
ダイエット中に理想とされるPFCバランス、P(タンパク質):F(脂質):C(炭水化物)=4:2:4を参考に、食材の選び方や食事量を考えるときのポイントをご紹介します。
ポイント①主食の目安量を覚えよう:ごはんは最低108g
1日に摂取するエネルギー量が1200kcalですから、1日に摂取する炭水化物の目安量は480kcal分=120gとなります。
1日3食として単純に計算すると、1食分では40gの炭水化物を摂ることになります。
炭水化物40gを含む主食の量は、以下のようになります。
主食 | 量 |
---|---|
ごはん | 108g |
食パン | 80g |
うどん(乾燥) | 56g |
そば(乾燥) | 60g |
パスタ(乾燥) | 55g |
炭水化物は生命維持のための重要なエネルギー源となりますから、減らしすぎないよう注意してください。
ただし、炭水化物は主食以外の食べ物にも含まれます。
上記の主食量を目安に、少なすぎ・多すぎにならないよう食事全体でバランスを整えてみましょう。
ポイント②タンパク質を十分に摂ろう
1日に摂取するタンパク質の量は、炭水化物と同じく480kcal分=120gです。
1食分で40gのタンパク質を摂ることを目指しましょう。
タンパク質40gを含む食材の一例は以下のとおりです。
タンパク質食品 | 量 |
---|---|
鶏むね肉(皮なし) | 172g |
鶏もも肉(皮なし) | 210g |
豚肩ロース肉 | 216g |
鶏卵(全卵) | 323g |
絹豆腐 | 755g |
タンパク質は、筋肉や内臓・お肌をつくるための材料となります。
健康的に痩せてキレイな身体を目指すために必要不可欠ですから、いろいろな食材を組み合わせて、毎日の食事で不足しないように意識すると良いですね。
ポイント③適量の脂質も摂る
1日に摂取する脂質の量は、240kcal分=約27gです。
1食分では、約9gが脂質の目安量となります。
大さじ1杯の油が9gですから、調理に油を使うときのひとつの目安を油大さじ1にしましょう。
ただし、脂質は調理用の油だけではなく食材にも含まれます。
食材そのものにふくまれている油の量も考慮し、炒めものや焼きものをするときには油を少量に抑えるか、油を使わない蒸し調理や電子レンジでの調理にするのがおすすめです。
とはいえ、脂質も肌の潤いを維持したり体内のホルモンを生成するために必要な栄養素です。
オリーブオイルや青魚などに多く含まれる不飽和脂肪酸を中心に、良質な脂質を適量摂るようにしましょう。
ポイント④満腹感を出すための工夫をする
低カロリーでも満腹感を出すためには、食材の選び方や献立の内容に加えて、見た目や食べ方にも工夫することが大切です。
見た目の美しさと咀嚼回数を増やすことに焦点を当て、次のようなこと実践してみましょう。
- 食材をやや大きめに切り、歯ごたえを出す
- 盛り付けにこだわる
- 1口30回を目安によく噛む
- 20分を目安に時間をかけて食事を楽しむ
いきなりすべてを実践しようとするのではなく、できることから少しずつ取り入れてみましょう。
慣れてきたらまた新しいことを取り入れ、少しずつ変化させていくのが継続させ習慣化するためのポイントです。
1日1200キロカロリーとるための朝食の献立2パターン

それでは、1人分の1200kcalの献立がどのような内容になるのかを具体的にご紹介します。
朝食の献立例1:カロリー416kca、タンパク質26.5g、脂質12.6g、炭水化物47.8g
- トースト
食パン 50g(8枚切り1枚) - 目玉焼き
卵 60g
オリーブオイル 3g
塩コショウ 少々 - サラダ
ブロッコリー 60g
カニカマ 20g
ノンオイルドレッシング 15g - ヨーグルト
無脂肪ヨーグルト(無糖) 200g - フルーツ
キウイフルーツ 50
朝食の献立例2:410kcal、タンパク質20g、脂質11.8g、炭水化物52g
- ご飯
炊き上がり110g - 生卵
- 味噌汁
具材はお好みで!
わかめ、きのこがお勧め - 納豆
1パック
1日1200キロカロリーとるための昼食の献立2パターン
昼食の献立例1:441kcal、タンパク質42.7g、脂質8.7g、炭水化物47.4g
- かしわそば
そば(乾燥) 40g
鶏ささみ 100g
しめじ 25g
長ネギ 25g
みつば 5g
めんつゆ(ストレート) 150ml - 温泉卵
卵 60g - 酢の物
きゅうり 50g
わかめ(乾燥) 1g
酢 3g
砂糖 2g
塩 少々
昼食の献立2(コンビニ編):520kcal、タンパク質26g、脂質26g、炭水化物43g
- おにぎり
納豆・昆布・シャケなど - 半熟卵
- サラダフィッシュ
- 海藻サラダ
脂質量が多くなってしまいますが、魚の脂質なので気にせず!
1日1200キロカロリーとるための夕食の献立2パターン
夕食の献立1:420kcal、タンパク質34.7g、脂質12.9g、炭水化物38.7g
- ごはん
白ごはん 80g - お味噌汁
えのきだけ 10g
ほうれん草 10g
にんじん 10g
だし汁 150ml
味噌 15g - 焼き鮭
鮭 60g
塩 少々
大根おろし 30g - 冷奴
木綿豆腐 150g
小ねぎ 3g
おろし生姜 2g
しょうゆ 5g
夕食の献立2:400kcal、タンパク質20g、脂質14g、炭水化物44g
- ごはん
白ごはん 120g - 鶏肉
もも肉100g - ニンニク
チューブでも可 - ナンプラー
大さじ1 - 砂糖
小さじ½ - 合わせタレ
ニンニク 小さじ1
ナンプラー小さじ½
醤油小さじ2
オイスターソース小さじ2
レモン汁 小さじ2
鳥の茹で汁大さじ1
まとめ
1200kcalの献立例や、メニューを考えるときのポイントをお伝えしました。
しかし、1食ごとに完璧を目指す必要はありません。
1日・1週間など一定の期間を通じて、全体のバランスが取れていればOKです。
特にタンパク質は、3回の食事で目標の量を摂取するのはなかなか大変です。
足りない分は、低カロリー高タンパクな食材を間食に摂るなど、少しずつ補って目標の量を目指すと良いですね。
何よりも継続することが大切ですから、食事を楽しみながらおいしくダイエットに励みましょう!
<参考>
※1 厚生労働省 日本人の食事摂取基準2020年版
・食品成分データベース https://fooddb.mext.go.jp/index.pl