海外セレブの間で流行し話題となった「パレオ式ダイエット」

その名前を聞いたことがある方もいらっしゃるかもしれません。

頑張らなくても自然と痩せられるといわれており、パレオ式ダイエットに関する書籍も数多く出版されました。

しかし、「頑張らなくても痩せられるダイエット方法なんてあるの?」「栄養的に大丈夫なの?」といったお声も散見されます。

そこで今回は、

  • パレオ式ダイエットの方法
  • パレオ式ダイエットのデメリット
  • パレオ式ダイエットのメリット
  • パレオ式ダイエットで成功するためのポイント

以上4点を中心に、管理栄養士の視点からご紹介します。

そもそも「パレオ式ダイエット」とは?旧石器時代の食事方法をもとにしたダイエット方法

パレオ式ダイエットの「パレオ」とは、旧石器時代を意味する「Paleolithic」のことです。その名の通り、パレオ式ダイエットは旧石器時代の食事を元にしたダイエット方法です。

旧石器時代には農耕もまだ始まっておらず、狩猟や採集によって食糧を確保していました。そのため、肥満や生活習慣病に陥る人はいなかったといわれています。

パレオ式ダイエットの具体的な食事方法

旧石器時代に主に食べていたとされているのは肉、魚介類、ナッツ、野菜、フルーツです。

パレオ式ダイエットは、ヒトとしての自然な食事形態に近づけることで、カラダ本来の健康な状態を目指しているというわけです。

パレオ式ダイエットでは旧石器時代の食生活に基づき、肉、魚介類、卵、野菜、果物、ナッツをメインとした食事にします。

基本的に、農耕が始まってから食べられるようになった米や小麦といった穀物や、大豆や小豆などの豆類、乳製品は食べません。

また、精製技術がなければ作ることができない砂糖をはじめとした糖分も摂取しません。

さらに、肉や魚についてもできるだけ放し飼いや天然のもの、調味料などもなるべく人の手が加えられていないものが推奨されているようです。

【管理栄養士視点で解説】パレオ式ダイエットのデメリット

パレオ式ダイエットに関して、管理栄養士の視点から注意していただきたいポイント=デメリットがあります。

パレオ式ダイエットの注意点まで理解したうえで、健康的にダイエットに取り組みましょう。

デメリット1:パレオ式ダイエットの食事方法は万能じゃない

旧石器時代は現代のようにいつでも好きなだけ食料が手に入る時代ではありませんから、当然日常的な食事量も限られてきます。

また、食糧を手に入れるために狩猟や採集をする必要があり、現代人と比べて圧倒的な運動量であったことが想像されます。

そのため、旧石器時代に肥満や生活習慣病がなかったと言われているのは、食生活だけでなく運動習慣や生活環境そのものが大きく関連しているのです。

つまり、「旧石器時代の食生活をしていれば必ず痩せられる」という考え方はNGです。

これを前提に、パレオ式ダイエットのメリットとデメリットを理解して正しく実践することが大切です。

デメリット2:穀物を摂らないことによるエネルギー不足に注意

パレオ式ダイエットでは穀物を摂らないことが推奨されています。

すると、お米やパン、パスタ、うどん、そばといった主食が食べられないということになってしまいます。

穀物は三大栄養素である炭水化物を主成分としており、私たちが生きるための主なエネルギー源となっています。

食事からのエネルギー摂取量が不足すると、身体は体内に蓄えてある栄養でエネルギーを補おうとします。

このとき真っ先に消費されるのが体脂肪であればダイエットにとっては嬉しいのですが、実際には脂質よりもタンパク質のほうが消費されやすく、筋肉を分解してエネルギーが作り出されます。

つまり、十分なタンパク質を摂っていても、エネルギーが不足していると筋肉が減って痩せにくく太りやすい身体になってしまう可能性があるのです。

そのため、パレオ式ダイエットではエネルギー不足に注意が必要です。

もちろん摂り過ぎはNGですが、適量の穀物やイモ、カボチャといった炭水化物を豊富に含む食品からバランス良くエネルギーを摂取することをおすすめします。

デメリット3:カルシウム不足に注意

カルシウムは主に乳製品に多く含まれていますが、パレオ式ダイエットでは乳製品も減らすことが推奨されています。

しかし、日本人はただでされカルシウムが不足しているため、積極的にカルシウムを補給する必要があります。

乳製品を摂らないのであれば、しらすや煮干し、わかさぎといった小魚や、ひじきやわかめといった海藻類、小松菜や水菜、大根の葉といった野菜を積極的に食べましょう。

また、パレオ式ダイエットのルールを一部緩めるというのもひとつの方法です。

牛乳には及ばないもののカルシウムを多く含む豆乳や豆腐といった豆製品を食べるようにしたり、1日1杯は牛乳を飲むようにしたりと、カルシウムを補うための食事を意識してみてください。

【管理栄養士視点】パレオ式ダイエットのメリットを解説

各種メディアやSNSなどで大きく話題となったパレオ式ダイエットですが、どうしてここまで流行したのでしょうか?

パレオ式ダイエットのメリットとともに、その理由をみていきましょう。

厳しい食事制限をしなくて良い

一部の食品を食べないようするという制限はあるものの、肉や魚、野菜などは基本的には好きなものを食べても良いとされており、食事量に厳しい制限はありません。

そのため、食べるのが好きな方や「お肉が大好き!」という方でもストレスを感じにくく、無理なくダイエットができるということがパレオ式ダイエットが流行した大きな理由のひとつです。

過剰な糖分や添加物の摂取量を減らすことができる

パレオ式ダイエットでは人工的に精製した食品や加工品を避けるため、糖分や添加物の入った食品の摂取量が減少します。

糖分を摂らないということは甘いお菓子などの間食を減らすことができ、ダイエットにとっては効果的です。

また、市販の焼き菓子などによく使用されるマーガリンには、トランス脂肪酸が多く含まれています。

トランス脂肪酸は心臓や血管系の疾患リスクを高めることが報告されており、特に虚血性心疾患の発症が増加する可能性が高いといわれています(※1)。

また、肥満やアレルギー性疾患との関連も認められていることから、私たちの健康に悪影響を及ぼす成分として注目されています。

パレオ式ダイエットでは、お菓子や加工品の摂取を制限することによりトランス脂肪酸の摂取量も減少するため、トランス脂肪酸による健康被害を予防することに繋がります。

食品に使用されている油脂や添加物のすべてが健康に悪影響を及ぼすわけではありませんが、これらの摂取を減らすことにより健康維持・増進のために一定の効果は期待できるかもしれませんね。

パレオ式ダイエットを成功に導くためのポイント

ここまで、パレオ式ダイエットのメリットとデメリットをご紹介してきました。

これらを前提に、パレオ式ダイエットを成功に導くためのポイントをみていきましょう。

あくまでもパレオ式の食事を「取り入れる」スタンスで行う

パレオ式ダイエットで痩せようとして、完璧な食生活を求めないことが大切です。

旧石器時代の実際の食事を完全に再現し、その食生活を継続するのはほぼ不可能です。

現代の食事の在り方や気軽に手に入れることができる食材、ご自分のライフスタイルなどに合わせて、可能な範囲でパレオ式ダイエットを実践しましょう。

ダイエットを成功させるうえで大切なのは、完璧を求めることではなく「継続すること」です。

身体的・精神的に過度な負担のない健康的な食事で、正しくダイエットに取り組んでくださいね。

PFCバランスを整える

BODYFAT30が提唱するダイエットの絶対3か条

パレオ式ダイエットによって肉やナッツの摂取量が増えると、脂質の摂取量も増加してしまいます。

脂質は1gあたり9kcalと、三大栄養素の中でも最も効率の良いエネルギー源です。

一方で、摂り過ぎればカロリーオーバーに繋がり、いくら食べる食品に気をつけていてもダイエットに関していえば逆効果です。

さらに、脂質の過剰摂取は動脈硬化や生活習慣病などのリスクとも関連があり、健康の面から見てもおすすめできません。

また、パレオ式ダイエットを忠実に実践しようとしてお米や小麦などの穀物を大幅に減らすと、炭水化物の摂取量が減少してしまいます。

穀物は炭水化物を主成分としているほか、食物繊維や代謝をサポートするビタミンB群なども豊富に含まれています。

日本人の食生活からいっても、主食となるお米や小麦などの穀物を一切摂らない食事は現実的とはいえません。

適量の穀物も食べながら、ダイエット中に理想とされているタンパク質(P):脂質(F):炭水化物(C)=2:3:5のバランスを意識して、栄養素の過不足に注意しましょう。

まとめ:パレオ式ダイエットのメリットとデメリットを正しく理解し、健康的に理想のカラダを目指しましょう!

世界的に話題となったパレオ式ダイエットですが、メリットとともに栄養的に注意すべきポイントもありました。

管理栄養士の視点からご紹介したポイントと対策を踏まえて、適度な運動も取り入れながら健康的に理想のカラダを目指してくださいね。

<参考>

※1 農林水産省 トランス脂肪酸の摂取と健康への影響(アクセス:2020.6.16)https://www.maff.go.jp/j/syouan/seisaku/trans_fat/t_eikyou/trans_eikyou.html
・パレオロビー パレオのメリット
https://paleorobbie.com/jp/page/why
・食品成分データベース
https://fooddb.mext.go.jp/index.pl

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