ダイエットの敵とみなされがちな脂質ですが、私たちの身体の中で重要な役割を果たしています。

そのため、ダイエット中だとしても脂質を全く摂らなかったり極端に制限したりするのはNGです。

とはいえ、脂質を摂り過ぎれば太ってしまうのも事実です。

そこで今回は、

  • 脂質が担っている重要な役割
  • 1日に摂取する脂質の目安量
  • 脂質を摂り過ぎないようにするためのポイント

以上の3点を中心に、管理栄養士がご紹介します。

「脂質」の役割とは?重要なエネルギーである脂質を知ろう

脂質は脂肪の源だ!ダイエットの敵だ!邪険に扱い、食わず嫌いしている女性は多いのではないでしょうか?

しかし、脂質の本来の役割は大変人間の体にとって重要なものです。早速、脂質の役割について解説していきます。

脂質の役割1:人体を動かす重要なエネルギー

私たちが生きていくうえで欠かすことのできない3つの栄養素を「三大栄養素」と呼び、それがタンパク質・炭水化物・脂質の3つです。

三大栄養素は私たちが活動するためのエネルギーや身体をつくる原料となり、中でも脂質は1gあたり9kcalと、非常に効率の良いエネルギー源となります。

タンパク質・炭水化物は1gあたり4kcalですから、脂質は2倍以上のエネルギーを含んでいるのです。

脂質の役割2:ホルモンの材料になる

脂質はエネルギー源になるだけでなく、体内で働くホルモンの材料にもなっています。

代表的なものとして、血圧や糖・脂質代謝・血液凝固などに関わる副腎皮質ホルモンや、女性ホルモンがあります。

脂質は生命・健康の維持に加え、女性としての身体の機能を保つためにも重要なのです。

脂質の役割3:細胞や神経の構成成分となる

脂質は、私たちの身体の細胞や神経系の構成成分でもあります。

細胞のひとつひとつは細胞膜に覆われており、この細胞膜にはリン脂質という成分が欠かせません。

また、DHAやEPAといった脂質は脳や神経系の発達に必要不可欠で、特に成長途中の赤ちゃんにとっては非常に重要です。

赤ちゃんの脳・神経の発達はお母さんのおなかの中にいるときから始まるため、妊娠中・授乳中の女性は積極的に摂ってほしい栄養素のひとつです。

脂質の役割4:美容のためにも必須!脂質が肌の潤いをキープしてくれる

上記でご説明したように、脂質は女性ホルモンや細胞の構成成分となります。

女性ホルモンは、肌や髪の毛の潤いを保ったり肌荒れを防止したりする働きを持っています。

また、ハリのある健康的な肌を保つためには健康な細胞が欠かせません。

つまり、脂質はキレイな肌・髪の毛をつくるためにも重要な役割を担っているのです

脂質の役割5:脂質がビタミンの吸収率をアップしてくれる

脂質はそれ自体が重要な役割を果たすだけでなく、その他の必要な栄養素の吸収率をアップしてくれる効果があります。

抗酸化作用が強く美容に役立つビタミンAやビタミンE、カルシウムとともに丈夫な骨をつくるビタミンD、血液の凝固に関わるビタミンKといった、脂溶性ビタミンの吸収率を高めてくれます。

これらは身体の代謝や生きるための機能に関わっているだけでなく美容にも役立つため、脂溶性ビタミンを豊富に含む食材を摂るときは良質な脂質も一緒に摂ると良いですね。

脂質はどれくらい摂ればいいの?脂質を摂るときのポイント

脂質を摂ることが大切だということがわかりましたが、実際にはどれくらいの脂質を摂れば良いのでしょうか?

続いては、脂質を摂るときの目安量とポイントをご紹介します。

PFCバランスをもとに適量の脂質を摂る

身体にとって必要な栄養素であるとはいえ、脂質を摂り過ぎれば過剰なぶんが体脂肪として蓄積され、結果として太ってしまいます。

そこで、PFCバランスを目安に適切な量の脂質を算出してみましょう。

ダイエット中に理想とされているPFCバランスは、P(タンパク質):F(脂質):C(炭水化物)=4:2:4です。

1日に1800kcalの食事を摂るとすると、そのうちの2割にあたる360kcalぶんを脂質から摂ることになります。

脂質は1gあたり9kcalですから、1日に40g、1日3食だとすると1食あたり約13gが目安となります。

ちなみに、調理に使う油は大さじ1杯で9gです。

その他にも食材自体に脂質が含まれていることを考慮し、自炊するときの参考にしてください。

脂質は食事の満腹感も高めてくれますから、ダイエット中でも適量をしっかり摂りましょう。

脂質の「質」も大切

ケーキやマドレーヌ・クッキーなどの焼き菓子やポテトチップスなどのスナック菓子に含まれる脂質と、お魚・オリーブオイルなどに含まれる脂質では、同じ脂質でも種類が異なります。

お菓子やスナック菓子・お肉に含まれる脂質は「飽和脂肪酸」の割合が高くなります。

特に、マーガリンには「トランス脂肪酸」が多く含まれており、血中の悪玉コレステロールを増加させ、善玉コレステロールを減少させてしまうという研究結果が報告されています。

血中コレステロールのバランスが悪化すると、動脈硬化や心臓病・脳梗塞などの疾病にかかりやすくなってしまいます。

マーガリンはパンなどに塗るだけでなく、市販のお菓子類にも多く使用されている場合があります。

一方、サバやアジといった青魚をはじめ、オリーブオイルやえごま油・アマニ油などに豊富に含まれる脂質は「不飽和脂肪酸」の割合が高く、血中コレステロール値を改善する・血圧や血糖値の上昇を抑えるといった効果が期待できます。

脂質を摂取するときは、摂り過ぎに注意するとともにその「質」も意識しましょう

脂質を摂り過ぎない!防ぐ!食材・メニュー選びのポイント3つ

適量の脂質は必要ですが、油断するとすぐに脂質の量がオーバーしてしまいます。

そこで、脂質を取りすぎないための食材・メニュー選びのポイントをご紹介します。

余分な脂質をカットして、良質な脂質を適量取り入れましょう!

脂質の摂りすぎを防ぐ方法1:脂質の少ない部位・種類を選ぶ

お肉やお魚は、部位によって脂質の量が大きく異なります。

例えば、可食部100gあたりの脂質の量を比較すると、鶏のもも肉では皮付きで14.2g、皮なしで5.0g、むね肉では皮付きで5.9g、皮なしで1.9gです。

また、豚肉ではバラ肉で40.1g、肩ロース肉で15.7g、ヒレ肉で3.7gとなっていす。

つまり、鶏皮や脂身の少ない部位を選ぶだけで、大幅に脂質をカットできるのです

また、牛乳やヨーグルトなどの乳製品や、ドレッシングやマヨネーズなどの調味料も意外と多くの脂質が含まれています。

そのため、これらを低脂肪・無脂肪タイプに変えるのもおすすめです。

脂質の摂りすぎを防ぐ方法2:脂質の多い食材を摂り過ぎない

焼き菓子やスナック菓子はもちろんですが、ベーコンやソーセージ・サラミといった肉類や、チーズ・バター・生クリームといった乳製品など、脂質の多い食材を食べ過ぎないこともポイントです。

食材に含まれている脂質は見落としがちですが、加工品も意外と多くの脂質が含まれている場合もあります。

食材を買うときに、パッケージに記載の栄養成分表示をチェックするクセをつけると良いですね

脂質の摂りすぎを防ぐ方法3:調理方法を変える

料理に含まれる脂質の量は、調理方法によっても大きく変化します。

油をたっぷり使う揚げ物は、当然脂質の量も多くなります。

また、炒めものやフライパンで焼くメニュー・パスタなども、意外と多くの油を使用しています。

そのため、揚げ調理や炒め調理よりも焼き調理を選び、さらに油を使わずオーブンなどで焼くと、余分な脂質も落ちてより脂質カットに繋がります。

また、煮る・茹でる・蒸すといった調理は油を使用しないためおすすめです。

電子レンジでの加熱も、油が不要&手軽で良いですね。

ただし、煮込み料理であっても、市販のカレールーやシチューのルーなどは多くの脂質が使われています。

そのため、カレーを作るときは市販のルーを使わない・あるいは量を減らしてカレー粉で作る、シチューは小麦粉でとろみをつけコンソメなどで味付けをすると、脂質を大幅にカットすることができます。

まとめ:ちょっとした工夫で脂質と上手に付き合い健康&キレイな身体を目指しましょう!

脂質はダイエットの敵と思われがちですが、私たちの身体にとって必要不可欠な栄養素のひとつで、重要な役割を果たしています。

生命の維持や健康のためだけでなく、美容にもおいても大切なものです。

しかし、脂質を摂り過ぎれば太ってしまいますし、適量の脂質を摂るときも「質」を意識することが重要です。

今回ご紹介したように、同じ食材・料理でも、工夫次第で余分な脂質を減らすことができます。

余分な脂質をカットしたぶん、良質な脂質を摂るようにすると良いですね。

実践しやすいところから取り入れて脂質と上手に付き合いながら、健康でキレイな身体を目指しましょう!

<参考>
・健康長寿ネット 三大栄養素の脂質の働きと1日の摂取量(アクセス:2020.5.5)
https://www.tyojyu.or.jp/net/kenkou-tyoju/eiyouso/shishitsu-shibousan.html
・公益社団法人日本薬学会 薬学用語解説 副腎皮質ホルモン(アクセス:2020.5.5)
https://www.pharm.or.jp/dictionary/wiki.cgi?%E5%89%AF%E8%85%8E%E7%9A%AE%E8%B3%AA%E3%83%9B%E3%83%AB%E3%83%A2%E3%83%B3
・食分分析情報センターSunatec 脂肪酸の種類(アクセス:2020.5.5)
http://www.mac.or.jp/technical/organicacid/index03.htm
・食品成分データベース
https://fooddb.mext.go.jp/index.pl