蕎麦は、穀物の中でも特に栄養価が高い食品です。
毎日の食生活に上手に取り入れれば、ダイエットや美容にも嬉しい効果が期待できます。
そこで今回は、
本記事の解説ポイント
- 蕎麦に豊富に含まれる栄養素とその働き
- 蕎麦を食べることで期待できる嬉しい効果
- ダイエット中に蕎麦を食べるときのポイント
以上の3点を中心に、管理栄養士がご紹介します。
蕎麦は栄養価が高い!豊富に含まれる栄養素とその働き
蕎麦は同じ穀物であるお米や小麦と比べても栄養価が高い食品として知られています。
蕎麦にどのような栄養素が含まれているのがご紹介します。
タンパク質
蕎麦は穀類の中では最もタンパク質を豊富に含んでいます。
さらに、体内で合成することができない必須アミノ酸が豊富に含まれており、非常に良質なタンパク質を摂取することができます。
タンパク質は私たちの身体をつくる原料となる重要な栄養素のひとつで、筋肉や皮膚、髪の毛を健康に保つほか、消化酵素やホルモンをつくり身体の機能を正常に保つ働きもあります。
ルチン
ルチンはポリフェノールの一種で、蕎麦に含まれている栄養素の代表格とも言える栄養素です。
強い抗酸化作用があり、毛細血管を強くするといわれています。
ココがポイント
ルチンは水溶性であるため、蕎麦を茹でると茹で汁に溶け出します。そのため、ルチンを効率よく摂りたいときは、蕎麦湯までしっかり味わうことがおすすめです。
カリウム
カリウムは主に体内の水分の代謝に関わっているミネラルです。
細胞内の余分な水分を排出させる働きがあるため、むくみの防止・解消や血圧上昇の抑制に役立ちます。
また、筋肉の収縮にも関与しており、不足すると筋力低下に繋がる場合もあります。
鉄
蕎麦には、米や小麦と比べて多くの鉄が含まれています。
鉄は血液を作る原料となる成分で、貧血を予防・改善するために必要なミネラルです。
特に女性や妊産婦の方は積極的に摂取したい栄養素のひとつです。
ビタミンE
ビタミンEは脂溶性ビタミンのひとつで、体内では細胞膜や脂質に多く存在しています。強い抗酸化作用があり、抗ガン作用や動脈硬化予防、生活習慣病の予防に効果が期待できるといわれています。
ビタミンB群
蕎麦にはビタミンB1、ビタミンB2、ナイアシン、ビタミンB6、葉酸、パントテン酸、ビオチンといったビタミンB群が豊富に含まれています。
ビタミンB群は体内の様々な代謝に関与しており、糖や脂質、アミノ酸、エネルギー代謝をスムーズに行うために欠かせない栄養素です。
効率よくエネルギーを産生してくれるため、ダイエット中には積極的に摂りたい栄養素でもあります。
皮膚や粘膜を正常に保つ働きもあり、ダイエット中の肌荒れなどを予防する効果も期待できます。
食物繊維
食物繊維はビフィズス菌などの善玉菌を増やし、腸内環境を整える効果があります。
そして胃腸を刺激して蠕動(ぜんどう)運動を促すため、便秘の予防・解消に役立ちます。さらに、一緒に摂取した糖や脂質の吸収を穏やかにして、血糖値や血中脂質の上昇を緩やかにしてくれる効果も期待できます。
蕎麦はダイエット・美容・健康にも役立つ!蕎麦を食べることで期待できる嬉しい効果とは?
以上のように、蕎麦は栄養価が高い食品であることがわかりました。
これらの栄養素の働きにより、蕎麦を食べることでダイエットをはじめ美容や健康にも嬉しい効果が期待できます。
その効果について詳しくみていきましょう。
蕎麦が痩せる理由1:低GI食品で腹持ちが良い
食品を食べたときの血糖値の上昇しやすさを示す指標に「GI値」というものがあります。
グルコースを食べたときの血糖値の上昇度合いを基準に、様々な食品の血糖値の上がりやすさを示しています。
GI値が高い食品ほど血糖値が上がりやすく、過剰に食べたときに体脂肪に変わりやすい食品であるといえます。
また、血糖値が上がりやすいということは消化吸収されやすいということでもあるため、GI値が高い食品は腹持ちも悪いということになります。
食品 | GI値 |
---|---|
食パン | 95 |
精白米 | 84 |
蕎麦 | 54 |
食パンのGI値が95、精白米のGI値が84であるのに対し、蕎麦のGI値は54です(※1)。
食パンや精白米と比べて蕎麦は血糖値が上がりにくく、腹持ちの良い食品であることを示しています。つまり、蕎麦は同じ炭水化物食品の中でもダイエットに向いている食品であるといえます。
蕎麦が痩せる理由2:強い抗酸化作用で美肌効果が期待できる
蕎麦に豊富に含まれているルチンとビタミンEの強い抗酸化作用により、細胞を若々しく保ち美肌をキープする効果が期待できます。
また、ビタミンB群の働きもあり、より健康なお肌の維持に役立ちます。
無理なダイエットをすると肌荒れなどのトラブルも起きやすくなります。
そのため、それらを予防する意味でも蕎麦を毎日の食事に取りいれて無理なくダイエットに取り組めると良いですね。
蕎麦が痩せる理由3:血管をしなやかにし血圧降下作用が期待できる
ポリフェノールの一種であるルチンは、高血圧予防に効果があるということでも知られています。
毛細血管に弾性をもたせてしなやかに強くしてくれるため、血圧が上がりにくくなるのです。
またカリウムの働きもあり、相乗効果でより血圧上昇を抑える効果が期待できます。
高血圧は生活習慣病など様々な疾患のリスクとなりますから、健康維持のためにも血圧を正常に保つことが大切です。
効率よく蕎麦ダイエット!蕎麦を食べるときのポイント4つ
蕎麦は栄養価が高く、ダイエットや美容にも役立つ食品であることがわかりました。
ここで、蕎麦をよりダイエットや美容に効率よく役立てるためのポイントをご紹介します。
蕎麦ダイエットのポイント1:蕎麦の種類にも注目
一言に蕎麦といってもその挽き方や配合によって様々な種類があり、味や食感をはじめ、含まれている栄養素にも差が生じます。
蕎麦をつくるときにはつなぎとして小麦粉を混ぜてつくることも多く、蕎麦粉と小麦粉の割合に応じて「二八蕎麦」、「十割蕎麦」などと呼ばれることがあります。
また、蕎麦粉の製粉方法などの違いによって、「更科蕎麦」や「田舎蕎麦」、「藪蕎麦」といった種類があります。
さらに、蕎麦そのものの品種にも種類があります。
特に、韃靼蕎麦は栄養価が高いといわれており、一般的な蕎麦と比べてルチンが圧倒的に多く含まれています。
その量は一般的な蕎麦の120倍にもなります(全層粉100gあたり、※2)。
この他にも、韃靼蕎麦ではカルシウムやビタミンB1、ビタミンB2もやや多くなっています。
蕎麦に含まれる栄養素をたっぷりと摂りたいのであれば、十割蕎麦などの蕎麦粉の割合が高いものや、韃靼蕎麦を選ぶのがおすすめです。
とはいえ、おいしいと感じなければせっかくの食事が台無しですから、お好みの種類の蕎麦を見つけられると良いですね。
蕎麦ダイエットのポイント2:食事全体の栄養バランスを整える
蕎麦には様々な栄養素が含まれていますが、それだけでは1日に必要なタンパク質や食物繊維、ビタミンやミネラルが不足してしまいます。
ダイエット中であれば、P(タンパク質):F(脂質):C(炭水化物)=2:3:5 のPFCバランスを目安に、様々な食品を摂ることを意識しましょう。
まんべんなくビタミンやミネラルを摂るためにも、薬味をたっぷり使ったり、山菜蕎麦やきのこ蕎麦、南蛮蕎麦など具材が多く使われている蕎麦を選んだりするのがおすすめです。
また、1日、1週間と少し長めのスパンで見て、たっぷりの野菜や果物、良質なタンパク質などをしっかり摂れると良いですね。
蕎麦ダイエットのポイント3:蕎麦を食べ過ぎない
上記の栄養バランスにも通じることですが、蕎麦ばかりを食べるのはNGです。
栄養バランスが崩れてしまうほか、いくら蕎麦がダイエットや美容に役立つとはいえ、食べ過ぎればカロリーオーバーに繋がります。
極端に食事を変えるのではなく、蕎麦を食事に「取り入れる」という意識で上手に活用してみましょう。
蕎麦に限らず、どのような食べ物でもそればかりを食べていては栄養の過不足が生じてしまいます。
様々な食品を食べつつも、身体に良い栄養素を効率よく摂取して理想の身体づくりに役立ててください。
蕎麦ダイエットのポイント4:蕎麦つゆを飲み過ぎない
蕎麦つゆには塩分が多く含まれています。
そのため、飲み過ぎは塩分過多につながりむくみや血圧上昇を引き起こす原因となる可能性があるのです。
蕎麦には血圧上昇を抑える効果も期待できますが、蕎麦つゆで塩分を摂り過ぎにようにすることも大切です。
まとめ:蕎麦を上手に活用してキレイと健康を叶えましょう!
蕎麦は穀物の中でも栄養価が高い食品で、様々な栄養素が豊富に含まれています。
それらの効果により、ダイエットを始め美容や健康にも嬉しい効果が期待できます。
とはいえ、蕎麦ばかりを食べていれば良いというわけではありませんから、様々な食品をバランス良く食べることも意識しましょう。
毎日の食事の中に賢く蕎麦を取り入れて、キレイと健康を叶えましょう!
<参考>
- NHK出版 からだのための食材大全、p193
- 食品成分データベース
https://fooddb.mext.go.jp/index.pl - 国立研究開発法人 医薬基礎・健康・栄養研究所 「健康食品」の安全性・有効性情報
https://hfnet.nibiohn.go.jp/ - ※1 食品別GI値一覧表
https://www.timesoft.jp/mini/2002/04-06/0607.html - ※2 日穀製粉株式会社 韃靼そばの栄養成分
https://www.nikkoku.co.jp/entertainment/dattansoba/nutrition.php